非平衡現象論

$LastChangedDate: 2018-10-09 16:55:35 +0900 (10/09/18 (Tue)) $

担当

湯川諭(大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)、理学部F517号室。講義に関するメールは lectureあっとbopper.ess.sci.osaka-u.acどっとjpへ。

最終課題

以下の二つの課題を提出せよ。
締め切り: 2月9日
提出媒体:紙媒体もしくは電子媒体
紙媒体はF517号室前レポート入れ、電子媒体は yukawaあっとess.sci.osaka-u.ac.jpまで。

  1. Quiz 全16問中、4問を選択し解答せよ。
  2. ゆらぎ、緩和、輸送、応答、ゆらぎの定理、情報熱力学など講義で出てきたキーワードを含む論文を読んでレポートするか、そのキーワードを含む自分の研究内容をレポートにする。

講義内容(予定も含む)

10月6日
非平衡現象とは。平衡近傍でのゆらぎ、Boltzmann-Einsteinの原理。最小仕事による表現
10月13日
具体例。ゆらぎの動力学、Onsagerの相反定理
10月20日
Onsagerの最小散逸の原理、Onsager係数の決定
10月27日
例: Brown運動、Ornstein-Uhlenbeck過程
11月10日
線形応答理論(定常な場合、動的な場合)
11月17日
線形応答理論(動的な場合)、揺動散逸定理(複素アドミッタンスとエネルギー散逸)
11月24日
揺動散逸定理(Kramers-Kronig関係式、緩和関数、相関関数、揺動散逸定理の破れ)
12月1日
ゆらぎの定理、散逸ダイナミクス
12月8日
(佐々氏の集中講義のため休講)
12月15日
ゆらぎの定理の導出、Jarzynski等式
12月22日
(休講)
1月5日
Jarzynski等式の導出。具体例:シア系でのゆらぎの定理、線形応答との関係
1月12日
(休講)
1月19日
情報、操作と熱力学: Maxwellの悪魔、Szilardのエンジン、Landauer原理
1月26日
情報、操作と熱力学: フィードバック系のゆらぎの定理にむけて
2月2日
情報、操作と熱力学: フィードバック系のゆらぎの定理、沙川-上田関係式

Quiz

Quiz 1 (10月6日)
ゆらぎの分布 \[ P(\{a_i - \bar{a}_i \} ) \simeq \exp \left( \dfrac{1}{k_\mathbf{B}} (S(\{a_i\}) - S(\{\bar{a}_i\})) \right) \] の指数関数の肩を\( \{ a_i - \bar{a}_i \} \)の2次まで展開し、規格化定数まで求めよ。Hessianが負定値である事と熱力学安定性の関係を述べよ。
Quiz 2 (10月13日)
一般に\( \{ X_i\} \)の分布が、 \[ P( \{ X_i \} ) \simeq \exp \left( - \dfrac{a}{2k_\text{B}} \sum_i \dfrac{\partial F}{\partial X_i } X_i \right) \] と書けるとする。 ただし、\( a>0, \dfrac{\partial F}{\partial X_i} = \sum_j \beta_{ij} X_j \)、\( \beta_{ij} \)は、実対称正定値行列の成分である。 また\( x_i = \dfrac{\partial F}{\partial X_i} \)とする。 この時、 \[ \langle X_i X_j \rangle = \dfrac{k_\text{B}}{a} \beta_{ij}^{-1} \enspace , \quad \langle X_i x_j \rangle = \dfrac{k_\text{B}}{a} \delta_{ij} \enspace , \quad \langle x_i x_j \rangle = \dfrac{k_\text{B}}{a} \beta_{ij} \] となることを示せ。
Quiz 3 (10月13日)
温度の分散が \[ \langle ( \Delta T )^2 \rangle = \dfrac{k_\text{B}T^2}{C_v} \] となることを示せ。
Quiz 4 (10月13日)
DrudeモデルでHall効果を考える。 電荷\(q\)をもつ質量\(m\)の荷電粒子が運動方程式 \[ m \dfrac{d\mathbf{v}}{dt} = q \mathbf{E} + q \mathbf{v} \times \mathbf{B}- \gamma \mathbf{v} \] に従うとする。ここで\(\mathbf{E}, \mathbf{B}\)はそれぞれ電場、 磁場、\(\gamma\)は散逸を表す。 電場、磁場が\(\mathbf{E} = (E_x, E_y, 0) , \mathbf{B} = (0,0,B)\)のとき、 定常速度が以下のようになることを示せ。 \[ \begin{pmatrix} v_x \\ v_y \end{pmatrix} = \dfrac{q}{\gamma^2+q^2 B^2} \begin{pmatrix} \gamma & q B \\ - q B & \gamma \end{pmatrix} \begin{pmatrix} E_x \\ E_y \end{pmatrix} \] 電気伝導率テンソルに関してOnsagerの相反定理が成立していることを確認せよ。
Quiz 5 (10月20日)
遷移確率 \[ W_{\Delta t}(a_i + \Delta a_i | a_i ) P(a_i) \propto \exp \left[ \dfrac{1}{2k_\mathrm{B}} \left( X_{i} \Delta a_{i} - \dfrac{1}{2} \Delta t R_{ij} \dfrac{\Delta a_{i}}{\Delta t}\dfrac{ \Delta a_{j}}{\Delta t} \right) \right] \] が、本質的に重要でない定数項を除き、 \[ \exp \left[ - \dfrac{\Delta t}{4k_\mathrm{B}} R_{ij} \left( \dfrac{\Delta a_{i}}{\Delta t} - L_{il} X_{l} \right) \left( \dfrac{\Delta a_{j}}{\Delta t} - L_{jl} X_{l} \right) \right] \] となることを示せ。
Quiz 6 (10月20日)
詳細つりあい \[ W_{\Delta t}(a_i + \Delta a_i | a_i ) P(a_i) = W_{\Delta t}(a_i | a_i + \Delta a_i) P(a_i+ \Delta a_i) \] を直接確かめよ。
Quiz 7 (10月27日)
Langevin方程式 \[ \dfrac{dp_i}{dt} = - \dfrac{f}{T_R M} p_i + \xi_i(t) \] またノイズに関して \( \langle \xi_i(t) \rangle = 0, \langle \xi_i (t) \xi_j(0) \rangle = 2 k_B f \delta_{i,j} \delta(t) \) のとき、 相関関数 \[ \langle p_i(t+\tau) p_j(t) \rangle_{p_i(0)=p_i^0,p_j(0)=p_j^0} = p_i^0 p_j^0 e^{-\gamma (2t+\tau)} + k_B T_R M \delta_{i,j} e^{-\gamma \tau} ( 1- e^{-2\gamma t}) \] となることを示せ。ただし\( \gamma = f / T_R M \)とする。
Quiz 8 (10月27日)
Quiz 7の相関関数を、Fokker-Plack方程式 \[ \dfrac{\partial P}{\partial t} = k_\mathrm{B} f \sum_i \dfrac{\partial^2 }{\partial p_i^2} P + \dfrac{f}{T_RM}\sum_i \dfrac{\partial }{\partial p_i} (p_i P) \] を使って計算せよ。
Quiz 9 (11月10日)
(講義でやった記法に従う。) 分布関数の外場に対する一次の項が、 \[ f_1(\mathbf{x},t) = \beta \int_0^t ds E(s) e^{-(t-s) \mathcal{L}_0} ( \dot{M} f_\mathrm{eq}) \] となることを示せ。
Quiz 10 (11月17日)
\( \mathcal{L}_0 \) をハミルトニアンとのPoisson括弧で定義される \( \mathcal{L}_0=\{ \cdot, H \}_{\text{pb}}\) という線形微分演算子とする。 また、\( \dot{A} = \mathcal{L}_0 A \)である。 \[ \int_{t_1}^{t_2} ds e^{s\mathcal{L}_0} \dot{A} = e^{t_2 \mathcal{L}_0} A - e^{t_1 \mathcal{L}_0} A \] を示せ。
Quiz 11 (11月17日)
\[ \langle A \rangle_t - \langle A \rangle_{eq} = \int_0^t ds E(s) \phi_{AM}(t-s) \] のフーリエ変換が \[ A_\omega = \chi_{AM}(\omega) E_\omega \] となることを示せ。 ただし \[ A_\omega, E_\omega = \int_{-\infty}^\infty dt e^{i\omega t} (\langle A \rangle_t - \langle A \rangle_{eq}, E(t)) \] で定義する。また \[ \chi_{AM}(\omega) = \lim_{\epsilon \to 0} \int_0^\infty ds \phi_{AM}(s) e^{i\omega s-\epsilon s} \] で定義する。
Quiz 12 (11月21日)
緩和関数 \[ \Psi_{AM}(t) = \lim_{\epsilon \to 0} \int_0^\infty ds \phi_{AM}(s) e^{-\epsilon s} \] を直接計算することにより、 \[ \Psi_{AM}(t) = \beta \langle A(t) M(0) - A(0) M(-\infty) \rangle_{eq} \] となることを示せ。
Quiz 13 (12月1日)
能勢-Hoover動力学において、分布関数\( f_{NH} \)の全微分が 以下のようになることを示せ。 \begin{align} \dfrac{d f_{NH}}{dt} & = \dfrac{\partial f_{NH}}{\partial t} + \dot{p}_i \dfrac{\partial f_{NH}}{\partial p_i} + \dot{q}_i \dfrac{\partial f_{NH}}{\partial q_i} + \zeta \dfrac{\partial f_{NH}}{\partial \zeta} \\ & = dN\zeta f_{NH} \end{align}
Quiz 14 (12月1日)
位相空間中のある領域\( \mathcal{D}_t \)の体積のLagrange的な時間変化が、 \[ \dfrac{dV(\Gamma(t))}{dt} = \int_{\mathcal{D}_t} d\Gamma(t) \Lambda (\Gamma(t)) \] となることを示せ。ただし \( \Lambda (\Gamma(t)) = \sum_i \left(\dfrac{\partial \dot{q}_i }{\partial q_i } + \dfrac{\partial \dot{p}_i} {\partial p_i} \right) \) である。
Quiz 15 (12月15日)
散逸関数\( \Omega(t) \)を \[ \int_0^t ds \Omega(s) = \log \dfrac{\mu_\text{orbit}(\Gamma_i(0,t))} {\mu_\text{orbit}(\Gamma_i^\dagger(0,t))} \] で定義する。このとき \[ \Omega (s) + \Lambda (s) = - \dfrac{1}{f(\Gamma(s),0)} \dfrac{d}{ds} f(\Gamma(s),0) \] である事を示せ。(表記は講義に従う)
Quiz 16 (1月5日)
\( f(x) \) を下に凸な関数とする。\(x\)を確率変数として、Jensen不等式 \[ \langle f(x) \rangle \ge f(\langle x \rangle) \] を示せ。

評価

期末レポート、およびQuizの解答状況(数問選んで、最後に提出)をみて総合的に判断する。

教科書、参考書

教科書は特に指定しない。 参考資料
・一般的なこと

・アインシュタインのゆらぎの理論 ・大偏差性 ・Onsagerの相反定理、Onsager-Machlup過程 ・ゆらぎの定理、Jarzynski等式 ・未整理

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